「等化」について

 等化とは,同一の仕様(specification)に基づいて開発されるが,問題項目の内容が異なる複数の版が存在するテストにおいて,どの版を受験してもテストの結果が共通の尺度上の得点で表現され,異なる版の受験者間で得点を相互に比較することを可能にする統計的操作のことをいいます。同一の仕様とは,測定する能力,問題の種類,問題の形式,テスト時間などが等しくなるように設計されているということです。
 本試験の場合,法科大学院全国統一適性試験として,第1回試験および第2回試験は同一の仕様に基づいて問題作成が行われていますが,問題の内容は異なっています。問題作成の段階で2回の試験の間で難易度が異ならないように細心の注意をもって作成していますが,2回の試験を完全に難易度の等しい試験にすることは不可能です(これはどのような試験についてもいえます)。そこで,第1回試験と第2回試験の得点を等化して,どちらの試験を受験しても有利・不利が生じないように得点の変換を行います。
 通常,異なるテスト間の得点はテスト問題の難易度や受験者集団の学力レベルが複雑に絡み合って比較できませんが,等化を前提として適切に設計された試験の場合は異なるテスト間であっても得点の比較が可能となります。本試験も等化を前提とした設計になっています。
 得点を等化する方法には複数ありますが,本試験の場合,2回とも受験した共通受験者の情報を用いた「等パーセンタイル法」と呼ばれる等化法を利用しています。等化手続きを経た結果「第1回試験スコア(総合得点)(1)」と「第2回試験スコア(総合得点)(2)」が直接比較できるようになります。2回とも受験した場合には,(1)と(2)のうち高い方の「スコア(総合得点)」が法科大学院に提出する「スコア(総合得点)」となります。
 この手法の詳細については佐藤・柴山(2011)「下位テストから構成されるテスト間の等化におけるブートストラップ法を援用した等化の標準誤差の評価」日本テスト学会誌,Vol.7,No.1,85-98」をご参照ください。

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