東京地判令和3年6月22日 判例時報2521号79頁 令和2年(ワ)第13596号 保険金請求事件(棄却(控訴)) 神社の氏子会の会員Xが保険会社Yとの間で自動車損害保険契約(日常事故賠償責任補償特約(本件特約)を含む。)を締結していたところ、氏子会の仲間とともに神社の境内において清掃を行い、地上5メートルの高さでチェーンソーを用いて、樹木の大枝を切り落としたところ(本件作業)、大枝が他の会員(被害者)に当たり、被害者が死亡した。Xは、Yに対し、本件特約に基づき、被害者に対する賠償金等の支払を求めた。 本判決は、本件特約の「日常生活」には定義規定は置かれておらず、一般的な意味(日々繰り返される普段通りの生活)を出発点ないし手がかりとして解釈するよりほかないとして、本件作業は普段通りの生活においては滅多に経験することのない危険性の高い作業であり、「日常生活」には該当しないと判示した。また、本件特約の免責事由「職務」についても、一般的な意味(仕事として担当する任務、つとめ、役目)を出発点ないし手がかりとして解釈するほかないとして、①一定の事業主体が組織され(事業目的のために職務遂行における損害発生リスクを回避する措置をとり得る程度に組織されていることが必要)、②事業目的のための仕事・任務であること、が要素とされることを述べた上で「職務」に該当するとした。 以上から、本判決は、Xの請求を棄却した。
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- 神社の氏子Xが保険会社Yと日常事故賠償責任補償特約を含む自動車損害保険契約を締結していたが、神社境内の清掃中切断した樹木の枝が他の氏子に当たり死亡したことから、Xの作業は日常生活に該当しないとして賠償金の支払を認めなかった事例(令和3年6月22日東京地裁)