九州地区研修会「婚姻費用・養育費に関するパネルディスカッション」(2025年2月21日 於:那覇)の御案内

九州地区研修会 「婚姻費用・養育費に関するパネルディスカッション」


公益財団法人日弁連法務研究財団 主催
九州弁護士会連合会・沖縄弁護士会 共催

 公益財団法人日弁連法務研究財団では、九州弁護士会連合会及び沖縄弁護士会との共催により、那覇市において九州地区研修会「婚姻費用・養育費に関するパネルディスカッション」を開催します。多くの皆様に参加いただきたく、御案内いたします。
 なお、公益財団法人日弁連法務研究財団のホームページには、松本哲泓弁護士によるオンライン研修「婚姻費用・養育費の算定」(YouTube公式チャンネルにて公開)を掲載していますので、事前に御視聴いただくことをお勧めいたします。

日時

2025年2月21日(金)14:00~17:00

場所

沖縄弁護士会館 4階 大会議室   ※WEB配信も併用します。
(那覇市松尾2丁目2番26-6号)  ※会場定員50名
https://okiben.org/access/

内容

 裁判官と弁護士によるパネルディスカッション

 ◆パネリスト
  井上 直樹 裁判官 (那覇家庭裁判所判事)
  藤田 光代 弁護士 (元那覇家庭裁判所長)
  松本 哲泓 弁護士 (元大阪高等裁判所第9民事部部総括判事)

 ◆コーディネーター
  鈴木 誠 弁護士 (公益財団法人日弁連法務研究財団常務理事)

参加費

無料

申込方法

2月14日(金)までに以下の申込みサイトからお申し込みください。
参加方法等の詳細は、後日、御登録いただいたメールアドレス宛てに御案内させていただきます。

お申込みはこちら→ 申込みフォーム 

※御提供いただいた個人情報は、公益財団法人日弁連法務研究財団の個人情報保護方針に従い厳重に管理し、本研修会の参加者確認(共催者である九州弁護士会連合会及び沖縄弁護士会並びに講師による確認を含みます。)及び連絡、並びに今後開催される公益財団法人日弁連法務研究財団主催の研修・イベント等の案内及び情報提供に使用いたします。

入会金・年会費無料キャンペーン

※ 当財団が主催する研修会・シンポジウム等への参加者に対し、当財団に入会する際の入会金及び初年度年会費を無料とするキャンペーンを実施しています (入会月が1月から3月の場合は、翌年度の年会費も無料です。)。
この機会に日弁連法務研究財団の会員となることを是非御検討ください。
<新規入会Web申込みフォーム>
https://forms.office.com/r/QC50UjP6QT

パネリストの皆様から

・ 井上 直樹 裁判官 (那覇家庭裁判所判事)
 私は、平成14年10月に神戸地裁の判事補に任官しました。家事事件は、平成22年に岡山地家裁に着任したときに最初に担当しました。その後は、主に民事事件を担当していましたが、令和4年4月から那覇家庭裁判所の上席裁判官として、約3年間家事事件を担当しています。
 婚姻費用・養育費は公平の原則を旨としますので、事案ごとに何が公平かが異なりますが、一方であまり細かい点を検討しすぎてしまうと、経済的に困窮している義務者に対する迅速な支払の要請を満たせなくなってしまうので、そのバランスを取りながら結論を出していく必要があり、その点が大変であるとともに醍醐味であると感じております。

・ 藤田 光代 弁護士 (元那覇家庭裁判所長)
 2004年4月弁護士任官をしましたが、2019年から2023年7月に定年退官するまでは、福岡家裁家事部総括、那覇家裁所長として、主として家事事件を担当しました。養育費・婚姻費用の問題は、標準算定方式で算定することが定着していますが、それだけでは解決できない問題も多く、調停でも審判でも悩むことが多々ありました。今回の研修会で皆さまと種々の悩みを共有し、解決に向かうための考えを共有できたらと思っています。

・ 松本 哲泓 弁護士 (元大阪高等裁判所第9民事部部総括判事)
 私は、2008年9月から定年まで、大阪高裁家事事件集中部の部長として、数多くの家事抗告事件を担当してきました。定年退職後は、関西大学法科大学院の民事法の教授をしながら、他方で、大阪家裁の家事調停委員を務めました。
 家事事件の多くは、審判によって権利義務が具体的に形成されますが、審判における判断は、裁判官が一切の事情を考慮してする裁量によることになります。そして裁量の幅が大きいことから、類似の事件のようにみえながら、結論に差が生じることも多くあります。事件は、一つとして同じものはありませんし、裁判は、個々の裁判官が独立してするものですから、結論の違いは当然ですが、家事事件も裁判の一つであって、その当事者には、合理的な理由が示されるべきですし、裁判の結果については、当事者が公平な判断を受けたと納得できるものであることが必要です。そのためには、家事審判を担当する審判官の間での共通の問題意識とこれを解決するための研鑽が必要であると考え、在官中から、高裁の裁判官を中心に勉強会を行って、その結果を管内の裁判官に「洪範九疇」をもじった「究理九躊」という書面にして提供してきました。これが、後に加筆等の上、①「婚姻費用・養育費の算定」、②「離婚に伴う財産分与」、③「面会交流」、④「離婚と財産分与」、⑤「遺産分割の実務」という5冊の書籍となりました。
 これらの書籍のうち、①②③⑤には、「裁判官の視点にみる」などの副題がついています。この副題は、出版社において考えたものです。出版社では、裁判官の視点について、「裁判官はどのように考えているか」「裁判官は何を重視するか」「裁判官は、どのような判断をするか」というような点に関心を持ってこの副題をつけたようですが、私は、裁判官が持つ視点は、多重であると思っています。個々の裁判をする上で裁判官が持つべき視点は、まず、原・被告等の当事者の視点、証人尋問では証人の視点、それと第三者的視点、判決を書いたときには上訴審の視点などです。さらに時間的視点も加えます。多重の視点で見ることによって、妥当な結論が得られると思っているわけです。今回の研修会で扱う婚姻費用・養育費の問題でも、請求する側、支払う側、子の視点、現在の視点、将来を予測する視点などがあります。調停でも、当事者双方が視点を多重とし、相手方、子などの視点を考え、共通の認識に立てば、話し合いによる合理的な解決が生まれる余地は高くなると思います。
 今回の研修会では、裁判所の運用が定まっていない問題、見解に争いがある問題、家族法の改正によって新たに生じた問題などを扱います。標準算定方式が提案されてから相当の期間が経過し、その運用はほぼ定着していますが、方式そのものの欠点もあり、また、時代の推移とともに、考慮すべき事柄も変化します。定着した運用も常に再検討は必要です。研修会では、婚姻費用・養育費の算定における現代的課題をあぶり出したいと思います。各パネリストは、それぞれに立場が違うので、それぞれの視点から示される意見は興味深いのではないかと思います。現職の裁判官も出席しますので、新たな視点を提供したいとも思います。有益で、楽しい研修会になること請け合いです。

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